食と軽度認知障害発症リスク低減に向けた
大規模コホート研究がスタート

江別いきいき未来スタディとはAbout

「江別いきいき未来スタディ」は、食と認知機能の関係を明らかにすることを目的にした、産官学連携の取り組みです。2022年3月、江別市、北海道情報大学、農研機構、島津製作所、セルフケアフード協議会の5者の共同研究としてスタートしました。
今後10年間、江別市民1,000人の健康調査をもとに、食と軽度認知障害発症の因果関係を明らかにし、生活習慣(食・運動・睡眠)の改善によって認知症発症のリスクの低減・予防を目指します。調査分析した研究データは、各分野の産業に応用可能なデータベースを構築し、セルフケアフード協議会を通じて社会に広く活用する予定です。
2023年6月に国会で成立した「認知症基本法」など、国の政策動向に深く関与する取り組みとして、研究の成果を世界に向けて広く発信していきます。

メッセージMessage

  • 北海道情報大学
    学長
    西平順教授

加齢に伴う筋肉量の減少により運動機能が低下するフレイル(脆弱性)や脳神経細胞の減少により記憶力や判断力が低 下する認知症が大きな社会課題になっています。人生100年時代と言われ健康で長生きする(健康寿命の延伸)ための課題は地域社会全体で解決しなければなりません。最近の複数の研究論文において、食生活を改善することによりフレイルや認知症の進行が抑制されることが示唆されています。
本10年認知症プロジェクトでは、地元江別で採れる栄養豊かな農産物の健康機能性評価を研究の主眼にしており、この研究成果は健康寿命の延伸と地域産業への貢献のみならず、将来を担う地域の若い世代の健康増進にもつながると確信しています。本プロジェクトは、皆様の積極的な参加により実現するものであり、ご協力の程、宜しくお願い申し上げます。

  • 江別市
    後藤好人市長

江別市は、 「だれもが健康で安心して暮らせるまち」 をめざし、『健康都市宣言』 を行っています。
今回、縁あって本スタディに参加させていただくこととなりました。本スタディは、高齢者にとって健康であり続けるための大きな不安要素である「認知症」に着目し、食を中心とする予防策を探索するという、非常に画期的な取組であります。
予防策を見つけるためには、より多くのデータを蓄積し、分析する必要があることから、長期的な参加者の確保がカギになります。
歳を重ねても自分らしく、いきいきと暮らすことができる社会を実現するため、多くの市民のみなさまのご参加をお願いいたします。

  • 農研機構
    理事長
    久間和夫

食事は日々の体調を整え、健康で豊かな生活をもたらします。
私たち農研機構は国の研究機関として、あらゆる世代の方々に寄り添った、美味しくて健康維持につながる食の創造を目指しています。
今回の研究では、江別市の皆さまのご協力のもと、普段の食生活と認知機能の関係を科学的に明らかにします。
また、人生100年時代に向けて、年齢を重ねても健康的な毎日を過ごせるように、認知機能の維持が期待される食生活を提案します。
10年間の長期にわたる研究になりますが、必ず目的を達成できるよう力を尽くします。皆さまのご参加をお待ちしております。

  • 株式会社島津製作所
    分析計測事業部
    副事業部長井上隆志

認知症の6割強を占めると言われているアルツハイマー病では、発症の約20年前からアミロイドベータが脳に溜まり始めるとされています。
アミロイドベータの蓄積度合いの推定には、PET 測定(陽電子放出断層撮影)や脳脊髄液を採取する検査方法が用いられますが、身体的負担が大きく、費用が高額で、また実施可能な施設も限られていることが課題となっています。
今回の観察研究では血液検査によりアミロイドベータや様々な成分分析を行うことで、どのような因子が認知機能の低下を抑え、健康な生活を維持する上で必要なのかを調べ、市民の皆様の健康づくりのきっかけにしたいと考えています。

  • 一般社団法人
    セルフケアフード協議会
    代表理事山本(前田)万里

「食」 は医食同源という言葉もあるとおり、生命を養い健康で長生きするために欠かせない生活要素です。
そのためには、個人の健康の見える化を適切な方法で行い、栄養機能性成分が明確な農産物を使った、個人に健康状態に適したセルフケア食品をレコメンドするような社会システムを創出・実装していくことが重要です。セルフケアフード協議会は、スマイル100年、食による幸福な健康長寿社会の実現を目指して、単独の企業だけでは取組めない協調領域や、社会課題の解決について、会員企業やステークホルダーの皆様と精力的に取り組んでまいります。